選べなかった家族

小学校の同級生にお別れのメールをしたら返信はなかった。

その後、母にメールした。

 

弘とは別れたよ。

セックスなしでも愛してくれた専門学校時代の彼とオーストラリア留学の資金を貸してくれた彼以外全員同じ理由で別れてる。

会ったらセックスしなきゃいけないと思うと会いたくなくなって、会いたくなくなったら好きでもなくなるからそれで全員別れてる。

どうして私が性犯罪被害に遭った時に警察呼んでくれなかったの?

 

それに対する母の返信は、

 

弘君、結婚願望有って子供も欲しかったから結婚願望ない美穂といつまでも付き合ってても仕方ないと思ったんじゃないの?美穂みたいにお付き合いだけって訳にはいかないよ。みんな結婚したいんだから。

あの時はママ若くてどうしていいかわからなかったし、警察呼んだら周りに知れていい事なかったと思うよ。

 

私な激怒した、

 

私のメール読んだら百人中百人が私がセックスしたくないから弘をフったってわかるでしょ、何をどうとれば結婚願望ないせいで私がフラれた事になるの?昔は結婚しないとセックス出来ないから男の人も結婚したがってたけど今は結婚しなくてもセックス出来るから結婚したくない男が多くて結婚したい女が困ってる時代だって事知らないの?弘だってセックス出来るなら私と別れたいなんて思ってなかったよ。

周りに知れていい事なかったって、幼稚園児が性犯罪被害に遭った事を恥じて周りに知られたら困るなんて事ある訳ないんだからお母さんが幼稚園の送り迎えもしない怠惰な母親だって周りに知られたくない我が身可愛さに私を一生カタワにしたんでしょう?フラれたのは美穂が結婚願望ないせいだから私の責任じゃない、あー良かったって思いたいのかも知れないけど、結婚願望がないのもお母さん達のせいなのに、2人居る娘が2人共、物心ついた瞬間に「一生結婚しない!子供も産まない!」って言うほど結婚は人生の墓場としか思えない家庭に育てておいて、何で私がフラれたのは私が結婚願望ないせいだから私関係ないってなるの?

 

ここまで激怒しても母は理解しないで返信してきて、

 

そんな事言ったってパパの顔は誰が見ても優しそうな顔だったし結婚してみないとわからないでしょう。

 

とか何回メールの往復してもずっと的外れな返信ばかり返ってきて反省も謝罪もないから激怒のメールを送り続けたらやっと最後に、

 

美穂が結婚願望ないから悪いなんて思ってないよ。ママが悪くないなんて思ってないよ。美穂の人生を台無しにしたかもね、ごめんね。

 

というメールが来たから罪を認めて謝ったのかと思った。

だけどそれからもカウンセリングに通って世の母という生き物は気狂いだ、これはカウンセリング界の常識ですよと言われ、母のエピソードを語れば語るほど、母が異常だった事を思い知らされた。私は専門学校の時に付き合った彼と別れた時に入水自殺をしようと思ったのに最後の最後に踏みとどまったのは、これまで誰の目から見ても分かりやすく異常な、人間として成立してない夫を我慢して、嫁いびりを耐えて、遺産争いに耐えて、職場でもかっこうの的にされて、人生3回分くらいの苦しみを味わってきた母に、娘の自殺という追い打ちをかけたら母の残りの人生の責任取れないと、母の為に踏みとどまったのに、その人物が私の人生を滅茶苦茶にした犯人だったの?じゃあ自殺しない理由ないよね、私の人生をここまで苦しいものにした人には私の自殺という苦しみをお見舞いしたって構わないよね、そのカウンセリングの後、仕事と寝てる時間以外ずっと自殺の事しか考えられなくなって、それまで出されてた抗うつ剤とはレベルの違う、最終兵器と言われる離脱症状の大きい薬を飲んで何とか次のカウンセリングまで持ち堪えた。

私は前回のカウンセリングで自殺を踏みとどまった理由の母が自殺を踏みとどまってまで守る筋合いの存在じゃないと思ったら、もう起きてる時間は自殺しか考えられなくなったという治療の経過を伝えると、そのカウンセラーは言葉に詰まった後、死にたかったのは過去の話だよ、今じゃないと死なない様に諭した。

あのカウンセラーは何の資格もなく勉強と経験だけでカウンセリングをしていた三流カウンセラーだったのだと思う。私が後に通信制の大学で心理療法コースを取った時には、カウンセラーの誤った治療のせいでクライアントを死に追いやる危険もあるので気をつけなくてはいけない事を自分の身をもって学んだ。

 

母からのメールに対して絵文字を使わなくなって了解ですとかわかりましたとか最低限の返事しか書かなくなった月日が経ったある日、母が「美穂とずっとこんな風でいるのはいやだ、早く機嫌直して遊びにおいで、待ってるから」というメールを送ってきた。

前のメールで美穂の人生を台無しにしたかもね、ごめんね、と書いてたから罪を認めて謝ったのかと思ってだけどそれは間違いで、私が性のトラウマのせいで恋愛に大き過ぎるハンデを背負わされて絶望している事は、母の中では"私が機嫌直すべき類の事"だという認識だとわかった瞬間に母の顔を二度と見たくないほどの嫌悪を抱いた。

 

だから私はそのメールに返信した、

 

恋愛するのに大き過ぎるハンデ背負わされて残りの人生恋愛なしで生きなきゃいけないなら今すぐ死んだ方がマシだ、自分が被害者みたいな言い方しないで!

 

母はこの返事を読んで「美穂が何言ってるか分からない」と姉に助けを求めた様で姉から手紙が届いてそれから複数年にわたって姉と手紙のやり取りをする事になる。

 

ちなみに姉は私が高校卒業と同時に自立したのと対照的に、私が自立した2倍の年齢まで親に面倒を見てもらっていた。

月三万円入れるだけで豪華な食事とトイレや廊下にまでヒーターの入っている新築の家で暮らしながらデートとテレビと部屋で音楽聞くという好きな事だけをして暮らすライフスタイルを続け、実家に入れる三万円がなくなったら仕方なくしばらく働き、またしばらく遊べるお金が貯まったらまた遊ぶだけの生活を送っていた。

 

遠距離恋愛の彼氏が大学を卒業して札幌の実家に帰って来たが、彼氏も姉と毎日デートして10年以上教員試験に落ちていた。

教員試験の為に働かないならわかるが姉と毎日デートする時間をバイトして実家にいくらか入れるべきだと思うのに、頭の中お花畑カップルは何の疑問も持たず「何でみんな働くんだろうね、月三万円入れれば仕事しないで毎日遊べるのに。毎日デート楽しいね❤️うふふあはは」の駄目人間カップルであった。

 

まともな価値観であれば「何年も教員試験落ち続けてるから私とデートする時間も勉強に充てた方がいいよ。別れよう。私とのデートがなくなって出来た時間で少しでもいいから実家にお金入れるべきだと思うよ、いい大人なんだから」という話になるはずだから、頭の中お花畑同士が出会って付き合う事になったのは運命だと思うけど、価値観は自分が身を置く環境によって作られるから、本当に子供の事を大事に思ってたら遅くとも30歳過ぎたら実家出て自立しなさいと自分の寂しさ堪えて自立させると思うのに、出て行かれたら寂しいから働かなくてもいいから出て行かないでと彼女の方も彼氏の方も子供より自分の方が大事な親とそういう親を持つ者同士の価値観にしか普段身を置かなければ、そりゃ私の様にずっと働き続けて失敗したり挫折したり友達失ったりする事で、高校まで身を置いていた環境によって作られていた異常な価値観が異常だと気付いて修正して生きてきた人間の様に高いレベルの価値観にステップアップしていく訳がない。

 

しかもマトモな価値観の人ほどこの頭の中お花畑の人から得る物なんて何もない、忙しいんだから付き合いを続けるべき人とそうでない人を見極めて自分の限られたプライベートの時間を投資していくよ、と離れていくから益々マトモな価値観に触れる時間は減り、学生の時よりもおかしくなっていってる姉とその彼氏を私はずっと駄目人間と思って周りの人にも話していた。そこまでの駄目人間の話はちょっと他に聞いた事ない、私と同じ家に生まれてそんな風になるのが不思議だ、美穂は何に対しても一生懸命努力していて、その美穂の姿勢に刺激されて勉強始めたり留学の決意固めたり、尊敬されてる妹を持つ姉なのにね、とみんなビックリしていた。

 

自立しないまま結婚して今でも何も出来なくて親に頼ってるから親を否定する事は自分を否定する事になるのだろう。

これから紹介する手紙のやり取りでそれはわかってもらえると思う。