母からの手紙３通目

物心がついても、私は重度の天然ボケだった。

母には中学の頃も高校の頃もよく、

「お前は若いのに私よりボケてるね。大人になったらどうなっちゃうんだ」

としょっちゅう言われた。

実際、専門学校時代も昼休みに裏のコンビニでお弁当を温めてもらって、10回中9回はお釣りだけ受け取ってそのままお店出ようとして「お客さん！お弁当！」って呼び止められて、ああ…みたいな感じだったし、1番よく遊んでた英会話の学校で知り合った友達に「最近、天然ボケが酷くなって治らないんだよね…」って相談したら、「治らないから天然なんだよ」と、年下の友達に教えられて、ああそうか、と納得したりしてた。

夫も私も一人暮らしだったから2人で使える物をお互いの家から持ってきて残りは粗大ゴミの収集手配とかして処分したんだけど、プラスチックの収納ケースは私の家から持ってきたけど粗大ゴミに出そうと思ったら、夫がキャンプに使うというのでそのままキャンプ道具を収納して毎月のキャンプの度に5段ロッカーは重くて私持てないから運んでと夫に頼んでだけど、キャンプを始めて3年位経ったある時突然、「あれ？！5段じゃねー！！」と、それが4段だという事に気付いた。

それまで何百回も5段ロッカーと言ってたし、夫も5段ロッカーと言っていたから気が付かなかった。

夫に「あれ？！5段じゃねー！！」って気付いてすぐに「貴方あれが5段じゃなくて4段だってずっと知ってたの？」と聞いたら知ってたと言うので何で教えてくれなかったの？と聞いた時のリアクションで、私の天然ボケのレベルが軽度ではないから一々突っ込んでるとキリがないという感じだった。

長年、私と付き合いがある人で私の天然ボケが酷いという事を知らない人は居ない。

なんだったら付き合い長くなくても一回一緒に食事してプライベートな会話したら即バレる。

仕事の間はだからこそ気を張って天然が出ない様、ミスをしない様、頑張ってるけど、それでもちょっとした雑務みたいな事をした時にバレる事もある。

夫は言葉を選んで、お前は馬鹿じゃないけどおっちょこちょいだから、というけど、実情は重度の天然ボケで沢山人に迷惑掛けて生きてきているしきっとこれからもそうだろう。

それを知らないのは数年に一度しかやり取りしない選べなかった家族くらいで、仕事や資格やTOEICの点数や高い年収の責任のある仕事をして、ITに強くて仕事が出来るっていう表面的な情報しか知らずに勝手にしっかりしてるイメージで過去の記憶を忘れてしっかりした幼稚園児という妄想に辿り着いたみたいだけど。

幼稚園の時の記憶がある人が居てビックリする。私は小学校低学年の記憶すらないのに。

幼稚園の時の記憶は性犯罪被害に遭ったあの日の記憶しかないのに、しっかりした幼稚園児なんて存在しないのに。存在したとしてもそれは絶対に私ではないのに。

中学2年の途中で引っ越して大きい学校に通う様になってからは片道徒歩30分位かかる道のりを毎日通わなくてはいけなかった。

ある日帰ろうとして自分の下駄箱を見ると、片方だけ違う靴になってる事に気が付いた。

私はイジメだと思って職員室に行きかけた。

だけどその時に、ひょっとして私が間違って片方父親の靴を履いてきてしまったのかもしれないと思い、とりあえず片方ずつ違う靴を履いて家に帰って母に確認してもらったら、やっぱり父親の靴だった。

片道徒歩30分の距離の通学の途中で気付くどころか、イジメかと思って職員室に行こうかと思ったというこの天然ボケエピソードは、母が気に入って色んな場所で言いふらしてたから今の母ですら言ったらきっと覚えてるはずの話なのに、自分の心を守る為なら私がしっかりした幼稚園児だったから自立して通ったなんて有り得ない妄想で私を更に気付け、更に激怒させるこの生き物は何？

友達と一緒に通う様になってって、お前以外にも保護責任者遺棄をする母親が居たって事？

なんで友達と通ってたんだったら性犯罪被害に遭った時に私1人で帰ってたの？

引っ越しで忙しくて幼稚園児の娘の送り迎え出来ない母親なんて居ない。

何の為に子供が小学校上がるまで働かないで専業主婦してたの？幼稚園の送り迎えさえしないのであれば。

仕事行く前に子供を預けてから出社して、仕事もフルタイムの正社員できちんとやってもお迎えもしながら引っ越しの準備してるよ、みんな。

子供の送り迎えしないで1人で行かせたり帰らせたりしたら心配で発狂する、それくらいなら会社遅刻したり早退したり休んだりしてでも子供を優先するよ。

それに引っ越しが決まってたなら益々、警察呼んだら周りに知れていい事なかったなんて話も出てこないでしょ、その地をすぐに離れるってもう決まってる状態だったのなら尚更。

妄想で作り上げた話だっていうのがモロわかり。

普通の家族じゃないって、私が現実をカウンセラーと心理療法士さんに教えてもらって接触避けたら言い始めてるけど、専門学校時代に実家は金持ちなのに仕送りない上に年に3回しかない長期休暇に帰省して飛行機代三万円ちょうだいって言ったら休みの度に帰って来なくていいよ、お金もったいないって言われたって話したらみんな普通の家族じゃないって言ったし、カウンセラーさんも心理療法士さんも普通の家族じゃないって言ってたよ。

自分に都合が悪い事が起こらない限りはどんなに異常でも普通の家族で、自分の都合が悪くなったら普通の家族じゃない、しかも引っ越し決まってて忙しくて、しっかりした幼稚園児だったから送り迎えを必要としなかったと。

ただ一つの例外もなくもれなく全て自分の心を守る為の妄想で記憶すり替えて私を傷付ける為に会おうとしてた事知って、会わなくて本当に良かったと思った。

直接会って謝りたいって言って聞いてみたらこんな有り得ない妄想でまた自分の心守って私を傷付けに来たのかって知ったら、私はその場で激昂してその場で持ってる日傘で力任せに母の目を刺して、怒りの余りに頭蓋骨の裏側まで貫通するくらい、刺した私の手も傷だらけになるくらい発狂して殺人罪を犯してただろうから、会わなくて本当に良かった。

事情を調べれば情状酌量の余地ありって執行猶予がついて服役はしないかも知れないけど、前科ついたら転職に不利になるしね。

よくもまあ、幼稚園児が性犯罪被害を恥ずかしい事と認識して母親の私にすら内緒にしたのに察しただの、30万円の収入の中から毎月美穂に10万円仕送りしてたから残りの10万円で家族4人やり繰りするの大変だっただの、しまいにはしっかりして送り迎えを必要としなかった幼稚園児だの、引っ越しが立て続いて忙しかっただの、ただ一つの例外もなくもれなく全部自分の心を守る為の妄想なのに直接会って謝りたいだなんてよく言えたな。

この手紙読んで謝罪とは一切思えないし。

妄想と言い訳のみでしょこれ。

カウンセラーも心理療法士さんも2人が2人とも、ベストな解決方法は二度とお母様と接触しない事です。接触する度に傷付けられますよって、2人とも本当に正しかったな。

葬式に参列する気も起らないです。